変わる葬送観 衰退する寺

 2017年3月13日 読売新聞より

直葬増加、死を遠ざける社会

 僧侶の資格を持つ日経BP社の編集者・鵜飼秀徳氏は『無縁社会』(同社)を昨秋に刊行。首都圏では3割以上という直葬の現場や、増加する孤独死、流行する散骨の実態、巨大納骨堂の建設ラッシュなどを取材した。見えてきたのは、社会が死を遠ざけ、死後に執着しない人が増えている現状だ。(中略)

 想像力が失われた結果、故人をしのんで手を合わせ、思い出を語るような余裕や潤いが、社会からなくなっているという。

「ふと立ち止まって自らの死や死後に想いをはせたり、近しい人をどう送るかを考えたりするのが葬式やお寺との関わり。死を考える余裕があることこそ、本当に豊かな社会の証ではないか。嫌なことから目をそらさず直視すべきだ。」